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29.看板材(一枚板)の形についての話

一枚板を看板の素材にしていますが、ホームページの素材のページにあるように、その形は千差万別です。

まず、想像してみてほしいのです。山に行くと木がたくさん地面から立っています。看板材となる木のほとんどは直径50cm以上(樹齢数十年以上)の大木を素材にしています。木の形はスギやヒノキなどはまっすぐ上に伸び、幹はほぼ円柱状をしています。ケヤキやクスノキなどの広葉樹のほとんどは幹高2~4mより上は枝分かれし、釣鐘状(?)に葉を広げています。看板材としてはこの幹の部分を素材にしているのが大半ですが、広葉樹の場合は円柱状ばかりではなく、瘤状の突起や曲がった変形の幹も多くあります。そして木の形とカットの仕方によって、看板素材の形はさまざまですが、大まかには下記の三つに分類されるのではと思っています。

1.両ミミ付き看板材

  

【ヒノキ】   【ケヤキ】     【クスノキ】

ミミというのは表皮部分のことを言い、上の画像は幹の部分を厚さ40mmほどで垂直にスライスした一枚板で、看板材としてはこのスライス材を横向きにして使うのが一番多いですが、縦でも、あるいはミミ(表皮部分)を直線カットして長方形の看板材として使うことも可能です。

上の画像での【ヒノキ】と【クスノキ】の両サイドのミミ(表皮部分)がはっきりと分ると思います。一方、中央の【ケヤキ】は両サイドが曲線になっているのでミミ部分は想像できますが、画像では見えていません。仮に直径500mmの丸太を厚さ40mmでスライスすると10枚ほどの看板材ができることになります。(実際は反りや研摩仕上げなどのことを考慮して60mm程度でスライスします) それで、丸太の芯(中心)に近い部分は【ケヤキ】のようにミミ部分がほぼ垂直に近くなりますが、芯(中心)から離れるに従って、【ヒノキ】や【クスノキ】のようにミミ部分は広がって見えます。ちなみに、芯(中心)に近い面を「木裏」と言い、表皮に近い(芯から遠い)面を「木表」と呼び、通常は木表を使って看板を作ります。もう一つ余談になりますが、芯を含む板材はその部分から小割れが出やすい傾向にあり、注意が必要です。

 

2.4辺直線カット看板材(長方形看板材)

  

【ケヤキ-1】  【ケヤキ-2】     【ヒノキ】

ケヤキとヒノキの4辺直線カット材です。主に一般企業などの表札看板として縦使いが多いです。【ケヤキ-1】の上部両サイドにやや白っぽいところがあり、この部分を「白太」と呼んでいます。中央のやや赤っぽい部分を「赤身」と呼んでいます。そして、このケヤキの「木裏」はすべて「赤身」になっています。4辺直線カット材は表も裏も同じ形だから、どちらを使っても良さそうですが、通常はやはり「木表」を主に使います。ただ、「木裏」の方が木目や色合いなどがきれいな場合は「木裏」使いをお勧めする場合も多いです。この「ケヤキ-1」の場合も「木裏」はすべて「赤身」で「ケヤキ-2」のように全体的に色合いが統一されていて、お好みに応じて使ったらよいと思います。

ちなみに4辺直線カット材で「木表」「木裏」の見分け方が分りますか? 要は木の表皮に近い方が「木表」、木の芯(中心)に近い方が「木裏」でした。「白太」は木の表皮に近い部分に現れますので、「白太」部分が多い面が「木表」です。そう考えると「ケヤキ-1」の場合は分りやすいですね。でも、「ケヤキ-2」の場合は「木表」「木裏」共すべて「赤身」ですので、「白太」での判断はできません。では、どうやって「木表」「木裏」を判断するかと言うと、「木口(上の画像では上下の水平カット面)」の木目模様を見て判断します。上の画像では木口面が見えないので、分りにくいと思いますが、木を水平に輪切り(木口カット)した場合は真ん中が芯で、その芯を中心に1年ごとの年輪が刻まれています。つまり、芯に近いほうの年輪は円弧が小さく芯から離れるほど大きな円弧になります。その木口の年輪の円弧の具合を見ることによって、「木表」「木裏」を見分けています。話ががちょっと分りにくいかもしれませんが、興味のある方は木材辞典などで確かめてみてください。

3.楕円状&変形看板材

  

【クスノキ】  【エンジュ】 【ケヤキ】

【クスノキ】は楕円状の周囲がほぼミミ(表皮部分)になっています。これは立ち木での幹が曲がった部分、若しくは瘤の部分をスライスカットした一枚板になります。【エンジュ】は円柱状の幹部分を斜めにスライスカットしたもので、裏面は逆方向にミミ(表皮部分)が付いており、この場合は【木表】【木裏】の区別はありません。【ケヤキ】は幹+枝部分も含んだスライスカットで立ち木の傾きや枝の状態に応じてさまざまな変形材になります。

ともかく、無垢一枚板は形も含めて木目・色合い・質感など唯一無二の素材です。その素材の特長を活かして世界に一つだけのオリジナル看板を作ってみてはいかがでしょう。