木の看板の制作工程
- 1、看板材の乾燥
-
数十年(あるいは数百年)を経た銘木を伐採し、丸太材として数年乾燥させます。
その後板材としてカットされ、さらに乾燥を加えます。
乾燥が不十分だと、後で反りが出たり、割れが出たりすることがあり、無垢材にとって乾燥は重要な工程です。
反りや割れが出たりすることを「木が暴れる」などと表現することもあり、木は正に生き物なのです。 扱いが難しい分、木目模様や質感など温かみを感じさせる自然素材です。 - 2、看板材のカット及び表面研磨
-
板材として十分乾燥させた後、自然木の曲線を活かしながら看板として適した形にカットします。
次にプレーナー(電気カンナ)・サンダーなどの工具を使って表面を研磨します。
今まで薄汚れていた木の表面に木目模様が浮き上がる瞬間です。
ホームページにアップしている看板材は、通常この状態のものを撮影し掲載しています。(中には荒材の状態の看板材もあります) ご注文が入った後、さらに細かい目のサンダーで仕上げの研磨をします。
- 3、彫り文字について
-
木の看板でのロゴ・文字制作は「塗り仕上げ」と「彫り(+塗り)仕上げ」の場合があります。
彫り仕上げでは最初の荒彫りは電動の彫刻刀を使うこともありますが、細かい仕上げは彫刻刀やヤスリなどを使って手作業で一字一字仕上げます。 ロゴ文字の大きさや特徴に合わせて彫りの深さや彫り方を調整し、機械彫りにはない迫力と温かみのある看板に仕上がります。
彫り文字の場合はロゴに立体感があり迫力のある看板に仕上がりますが、その分の費用が加算されます。彫り方について
ロゴ文字の彫り方には主に次の2種類があります。- 【V字彫り】
- 文字の部分をV字型に彫りこむやり方で、文字の線が5mm前後以内の小さい(細い)ロゴ文字を彫るのに使います。 彫った部分に塗料で色を載せます。 通常の表札文字の彫り方で、「矢弦彫り」、「谷彫り」とも言います。
- 【かまぼこ彫り】
- 文字線の外側から彫りこみ中央部分を盛り上げるような彫り方で、形状から「かまぼこ彫り」と呼んでいます。 大きい(太い)文字の場合に使い、文字が立体的に浮かび上がるように見えます。看板文字のほとんどはこの「かまぼこ彫り」になります。彫った部分に塗料で色を載せます。 「額彫り」という言い方もあります。
これは底面を平たく彫るやり方で、下記の例のようにマーク(中川)や落款の文字部以外を彫る場合などに使います。 文字部分では仕上がり具合などから通常は使いません。筆文字独特のにじみやかすれも再現している手彫りのかまぼこ彫り(筆塗り前:画像右側) - 4、看板の保護・仕上げ塗装
-
表面を滑らかに研磨した後、雨や紫外線から木を保護し、木目などを浮かび上がらせるための塗装をします。(彫りの場合はロゴを彫った後塗装します)
看板仕上げ塗装の塗料としては、木に染み込んで保護するオイル系(浸透型)の塗料と木の表面に薄い被膜を作って木を保護するウレタン系の塗料があります。
雨風・直射日光にさらされる外部用看板には、その耐久性を重視し、ウッドスキンコートという塗料を主に使っています。 ウッドスキンコートはウレタン系の塗料ですが、最初に浸透型でもあるウッドスキンコートSTを下塗し、乾燥後ウッドスキンコートグロスを2回塗り、最後にマット(ツヤ消し)でツヤを調整して仕上げます。
木に浸透及び被膜を作る4回塗りで、撥水性、防腐、耐紫外線性などの対候性効果が優れているウッドスキンコートは高価で手間が掛かりますが、現在考えれる最も耐久効果が期待できる塗料だと思っています。 - 5、ロゴ塗り
-
木部保護塗装をよく乾燥させた後、ロゴ塗りの工程に入ります。
ロゴ塗りは、風雨や紫外線などの対候性・耐久性に優れた専用塗料を使い、直接筆で塗る手法をとっています。
なお、「彫り」の場合と「書き(塗り)」の場合とでは、塗料や塗り方も幾分異なります。 長年の経験を基に、最もきれいで、そして耐久性に優れた仕上がりを心がけています。『書き(塗り)』の場合のロゴ塗り
書き(塗り)の場合は肉厚に塗り、やや盛り上がる感じに仕上げます。(文字の大きさや色によって幾分異なります)
筆文字のにじみなども再現します。 それから、看板材の仕上げ塗装はツヤ消し、ロゴ塗りはツヤ有りで、自然の風合いを大事にしつつ、メリハリの利いた仕上がりを基本にしています。
【やや肉厚塗りのロゴ】『彫り』の場合のロゴ塗り
「彫り」のロゴ塗りは、手彫り跡の質感を生かし、重厚な感じに仕上げるために、ややツヤを抑えた仕上がりを基本にしています。
※木の看板をお考えの方は「見積もり請求」で具体的な検討ができますので、お気軽にどうぞ!