41.木の看板ができるまで(1)デザイン

 基本的に看板製作は、デザインから始まります。
 あらかじめデザインが決まっていて、お客様からいただいたデータの通りに作ることもありますが、書く文字だけ決まっていてデザインはこれから、というケースのほうが多いです。
 実際にどの木で作るのか(HPに在庫一覧がまとまっていますので、ご希望の番号をお知らせください)、縦向きか横向きか、ご希望のフォント(これもフォント一覧から選んでいただくとスムーズです)、書く文字をお伝えいただければ、こちらでデザインをし、イメージ画像を送付します。
 希望の素材やフォントが決まっていなくても大丈夫です。おおよそのサイズやフォントの雰囲気さえ伝えていただければ、こちらでデザインいたします。


 画像のように、同じ文字でも、フォントでイメージは大きく変わります。縦向きか横向きか、二列か一列か等、様々なパターンが考えられます。実際に製作する木材の上にイメージ画像を作成しますので、お客様にも、完成図をイメージしていただきやすいかなと思っています。

 上記のフォントの中から「ヒラギノ特太行書」に決めました。フォントの中でも、人気が高いもののうちのひとつです。
 しかし、フォントが決まっていても、デザインは確定ではありません。字のバランスは意外と難しく、縦横比を微妙に変えたり、字間を少し開けたり縮めたりするだけで、イメージは変わります。正直、僕らにも正解は分かりません。最後は、お客様のお気持ちでしょう。上の六つのデザインの中では、みなさんはどれがお好みでしょうか?
 ちなみに父曰く、画像だとどうしても実物より看板がこじんまりとして見え、その分字を大きくデザインしてしまいがちなので、ちょうどいいぐらいより気持ち小さめ、余白を多めに残すほうがいい、とのことです。
 できるだけお客様のご希望に添えるよう、何パターンかデザインし、お好みのものを選んでもらうことが多いです。もちろん、字の大きさや字間などご要望がありましたら、何度でも修正させていただきます。
 看板製作は、僕たちにとっては毎日の仕事ですが、お客様にとっては、一生に一度か二度ぐらいしか作らないものです。デザインには、納得いくまで拘っていただいて構いません。

 というわけで、僕はこのデザインにしました。バランスをよくするため文字間をやや開け、字をやや太くしています。太くすることで迫力が出るかな、と思ったのと、練習用に自分が彫るのに、字が細いのは難しいだろう、と思ったからです(笑)
 実際の作業については、また次回。