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3.看板制作の三つのポイントとは

お客さんから「想像以上に素晴らしい看板で感動しました!」との内容のメールをいただくことがあります。看板屋としてはこれほど嬉しいことはありません。

それで、『お客さんの予想を上回る素晴らしい看板を作る』 が、看板屋としてのテーマになっています。それでは、どうやったらお客さんの期待を上回る素晴らしい看板ができるか・・・・。

たどり着いた結論が次の3点。

1、看板素材

2、ロゴ及びレイアウト

3、看板製作技術

以下は上記の3点についての体験談を交えた看板屋の話です。

当たり前のことですが、この三つが揃えば、お客さんの期待を上回るすばらしい看板に仕上がります。三つのどれもが大切で、それぞれについて知識を深め経験を積んで、少しずつ研鑽するしかありません。

1、は自然素材が相手、3、は主に昔ながらの手作業による制作によります。ところが、2、はソフトを駆使しながら、パソコンの中での作業が主になります。この「アナログ」と「デジタル」の両方にまたがり、時としてアート性も要求される木の看板制作は難しいですが、興味は尽きません。

 

1、看板素材

「木の看板」の素材は無垢材です。看板用の無垢材とは表皮付きの丸太材を4~5cmの厚さで縦にスライスした一枚板のことです。自然の造形や木目・質感など自然の温かみが魅力です。それに自然の迫力が感じられます。

例えば長方形のプラスチックを素材に、素晴らしいロゴで看板を作ったとしても、「お客さんの期待以上のものを作るのは難しいのではと思うのです(期待通りのものはできたとしても・・・)

木の看板屋の勝手な言い分ですが・・・。

無垢板で看板を作っていて、「素材に助けられている」と感じることがよくあります。未熟な技術を上手くカバーして、素晴らしい看板に仕上げてくれたと・・・。反面、無垢材の素晴らしさを引き出すために、どのようにカットするか、木目・色合いを活かすためにどのような仕上げ塗装をするか、など技術力が要求されます。

ただ、この無垢材は好都合なことばかりではありません。「木が暴れる」などの表現にあるように、乾燥を十分にしていても、割れが入ったり、反りが出てきたり、予測しがたいことが起こることがあります。

また、樹種により、塗料のノリが異なったり、・・・・無垢材についての知識や経験が必要不可欠です。

 

2、ロゴ及びレイアウト

素材の次に大事になってくるのがロゴです。自然が創った無垢板の上に人間が作ったロゴを載せて看板を完成させる訳ですが、自然と人間の共同作業によって素晴らしい看板ができるという感覚を持つことがよくあります。

ロゴの作り方は二通りの方法があります。

一つは、書家による筆文字などで、世界に一つだけのオリジナルロゴになります。アート性に富んだロゴも多く、看板制作に気合いが入ります。

書家によるオリジナルロゴの例で、気に入っている看板の一つです。

 

もう一つはパソコンのフォントを使ってロゴを作るやり方で、最近では筆文字風を初め、様々なフォントがあります。ソフトでフォント文字の大きさ・太さ・文字間などを自由に修正でき、書家によるオリジナルロゴに負けないものを作ることも可能です。

次に、ロゴと看板素材のマッチング(レイアウト)の作業になります。もしかしたら、看板制作の上で、最も重要な工程かも知れません。

この作業はパソコン上で看板素材にロゴを載せて試行錯誤しながらレイアウトを詰めてきます。素材の形・ロゴ・空白を考慮しながら、「気品」と「迫力」をキーワードに、看板を見た時にロゴの内容・イメージがス-ッと目に入るようなレイアウトを目指しています。

そして、イメージ画像を何点か作って、お客様に見てもらうことになります。

レイアウトについては下記の「木の看板のレイアウト&デザインについて」で詳しく触れていますので、興味のある方はご参照ください。

⇒ https://kinokanban.jp/guide/simulation.html

 

レイアウトが決まると、パソコン上で原寸大に拡大、ロゴ部分のみ印刷し、実際の看板素材にロゴの輪郭を写し取り、彫り、塗りの工程に移ります。

 

3、看板製作技術

木の看板制作技術では三つのポイントがあると思っています。

一つは無垢看板素材の加工技術、特に表面研磨は重要な工程です。木目をきれいに見せるためには均質できめ細かな研磨が必要です。また、研磨の状態によって、仕上げ塗装のノリも違ってきます。

それから、虫食い跡の穴を埋め木加工で補修したり、反りを直したりする技術も必要になってきます。

二つ目はロゴを「彫る」技術、「塗る」技術、これらは緻密で時間がかかる作業です。

ちょっと、余談ですが、看板関係の専門用語で、ロゴを塗る工程を「墨を入れる」などと言っています。現代ではロゴを塗るのに「墨」は使わないのですが、「ロゴを書く、塗る」では何となく締らない。

そして、私はこの「墨を入れる」工程が一番好きな作業です。長時間の集中力を要求されますが、墨を入れ終わると看板の全容が明らかになり、その出来具合がはっきりとします。

三つ目は塗料の知識と塗装の技術です。実はこれが一番難しいところです。看板制作の工程では二種の塗装が必要となります。

一つは看板を雨風・紫外線など厳しい自然環境から保護するための仕上げ塗装で、看板全面に2~4回塗りします。もう一つはロゴ部分の塗装(墨入れ)です。

通常、家具や建物などの塗装は一種類の塗装で済むのですが、看板の場合、木の保護塗装とロゴ塗装を重ね塗りし、またその塗装は耐久性と美しさの両方が要求されます。

現在では多くの種類の塗料が開発されていますが、必ずしも万能のものはなく、その塗装方法も含めて、経験と実績から検証していかなくてはなりません。

時には失敗しながらも、研究と経験を少しずつでも積み重ねて・・・。 お客さんの期待を超える素晴らしい看板を一枚でも多く作れたら・・・。